産科医をやってきて前から思うことは、母子手帳は赤ちゃんとお母さんの健康を記録するものであるけれど、そこには大切な情報(家系)が詰まっているんだよと健診中にお母さん方にそう答えています。
妊娠中に高血圧を認めたとき、ご両親が高血圧があるかどうか聞きます。両親ともに高血圧である場合には、その子供が高血圧になる確率はおよそ50〜60%。一方、両親のうちいずれかの親が高血圧だった場合にはおよそ約25〜35%ほど、両親とも高血圧ではない人の場合には、10%に満たない数値だと言われています。特に妊娠中に高血圧を認めたときは、将来生活習慣病としての高血圧になる可能性もあるのです。
糖尿病においても両親とも糖尿病だと、その子どもが65歳までに発症する確率は40〜50%程度になります。これは一般的な集団と比較しても高い確率です。高血圧、糖尿病だけでなく、例えば、歯並びなどはほぼ100%、動脈硬化、アトピー、脳梗塞、クモ膜下出血など、実に受け継がれる疾患は数多いのです。
妊婦健診でこのように指摘されたとき、もちろん慎重に精査治療していかなければいけませんが、出産後も将来お母さんが成人病として発症しないように今からでも生活習慣に注意し予防できることを伝えていかなければいけないと考えています。
いつも行っている健診の中で血圧測定、尿検査、体重測定にはそんな意味があり、そういった気持ちで健診を受けていただきたいのです。
母子健康手帳の原形は、昭和17年から交付されてきました。
その母子手帳がいずれペーパーレス化されうる時代がやって来るのかなと思うとなんだか複雑な気持ちになります。
「親から子、そして子から孫へ 未来の世代のために!」
2020.04 院長 柏木 智博
当院のらせん階段の天井画、新生児室の壁画を描いてくださったマーク・エステル氏の作画が2019年11月10日の天皇陛下の即位を祝う祝賀行事のテレビ放送で紹介されていましたのでご紹介させていただきます。 (下記の動画では33分から)
マークエステル氏は日本の精神文化を日本国内をはじめ、世界にむけて広める活動をされています。
また、日本全国の神社123社に絵画を奉納し、大自然や人々を大切に守ってきた神様に捧げるという活動をされているフランス人画家です。
マークエステル氏の経歴ページに当院の天井画(直径5m)と壁画を記載いただいています。
2019.11 院長 柏木 智博
今や花粉症は「日本の国民病」といわれるほどに、毎年多くの人が悩まされています。
年齢別では30代(35.4%)、40代(39.1%)が多く、
特に30代以上では女性の有病率が高いことが示されています。
また、花粉症患者の約8割が「熟睡できない」 「翌日だるい、眠気がある」 「寝つきが悪い」など睡眠への影響を訴えています。
花粉症に伴う眠気の原因としては、抗アレルギー薬の副作用ばかりではなく、鼻閉などの症状が睡眠の質を悪化させていることが考えられています。
妊娠・授乳中の女性にも花粉症に苦しむ場合も少なくありません。特に、妊娠中は女性ホルモンの影響で鼻閉症状は悪化しやすいようです。
妊娠・授乳期は、薬を使用しない花粉症対策を行いながら、必要に応じて安全性が高い点鼻薬・点眼薬・漢方薬などを選んで治療を行います。
花粉症のセルフケア
外出時には・・・・・
◆マスクを着用!
◆メガネを着用!
◆帽子を着用!
普段からできることは・・・・・
◆玄関先で上着についた花粉などを振り払いましょう!
◆外出から戻ったら、洗顔・うがいをしましょう!
◆睡眠を十分にとり、ストレスをためないようにしましょう!
◆花粉の飛散が多いときは、布団や洗濯物の外干しを避けましょう!
2015.03 院長 柏木 智博
冬になると必ず流行するものに インフルエンザ があります。
この病気はインフルエンザウイルスによって起こる急性感染症です。
インフルエンザウイルスにはA、BおよびCの3つの型がありますが、通常A型とB型のことをいいます。
インフルエンザにかかるのは、かかっている人のくしゃみや咳で、喉からウイルスが外へ飛び散り、それを吸い込むからです。
シーズンになると、人ごみではインフルエンザウイルスが空中にただよっているわけです。そのため、ワクチンを接種した方がいいのです。ワクチンが十分な効果を維持する期間は接種後約2週間後から約5か月とされています。ワクチンを受けていても、インフルエンザにかかってしまうことがありますが、受けなかった場合に比べて症状が軽くすむことが多いといわれています。
特に高齢者や基礎疾患を持つ成人や小児、そして妊婦の方にはおすすめします。
また、妊娠全期間においてワクチン接種は可能です。
2015.02 院長 柏木 智博
デング熱の国内感染例が約70年ぶりに日本でも確認されました。
デング熱は人から人ではなく、患者から血を吸った蚊が媒介して、他の人に感染が広がる疾患です。
主な症状は、発熱、頭痛、筋肉痛や皮膚の発疹などです。
妊娠女性が感染した場合の影響については、流行が蔓延しているブラジルからの報告があり、妊娠女性が感染すると妊娠していない女性に比べて重症化しやすい傾向があり、妊娠後期ほど重症化しやすいとされています。
しかし、デング熱は予後の比較的良好な疾患であり、多くの方は一週間程度で回復しており、これまで国内で発症して死亡した報告はありません。
デング熱には現時点でワクチンがないため、予防には蚊に刺されないような対策をとることが大切です。
@. ヤブ蚊(ヒトスジシマカ)に蚊に刺されないよう、長袖、長ズボン等を着るようにして注意しましょう。
虫除けスプレー使用も有効と考えられます(妊娠中使用に関して問題ないとされています)。
蚊にさされなければ感染はしません。
A. デング熱の症状は突然の発熱、頭痛、筋肉痛とそれに引き続く発疹とされています。
蚊に刺されてから3-7日後に高熱のほか、頭痛、目の痛み、関節痛等の症状が見られれば、デング熱の可能性もあるため、早めに医療機関を受診してください。
2014.09 院長 柏木 智博
熱中症は、暑いところにいて、汗により体の中の水分や塩分が減ってしまったり、体温が上がりすぎてしまうことで起こります。
健康な人でも、部屋やクルマの中にいても、夜でもかかる可能性のある病気です。
特に子供や中高年は水分をたくさん蓄えておくことができる筋肉の量が少なく、体温を調整する力も弱いため、水分が不足しやすくなります。
・熱中症の症状の分類
1度(軽症) … めまい、立ちくらみ、筋肉痛、こむら返り、汗をふいてもふいても出てくる。
2度(中等症) … 頭痛、吐き気、嘔吐、全身のだるさ、暑いのに汗が出にくくなる。
3度(重症) … 意識がもうろうとする、けいれん、体温が40度以上になる。
暑い季節は特に早めからこまめに水分をとるように心がけましょう。
そして、普段から運動して、熱中症の予防に努めましょう。
2014.08 院長 柏木 智博
妊娠中は、つわりで歯みがきが十分にできないことや食事・間食の増加などにより、むし歯や歯周病にかかりやすくなります。
日ごろから定期的にお口の健康に心がけておくことが大切です。
妊娠中の歯科治療の時期は、安定期(5〜7か月)に行うのが望ましいでしょう。
また、レントゲン(エックス線)や歯科治療で使われる麻酔は、お腹の赤ちゃんにほとんど影響ありません。
親知らずが痛み出したら、早めの受診が肝心ですが、妊娠後期に抜歯をすることはなるべく控えた方が無難です。
2014.06 院長 柏木 智博 |